2025 年 5 巻 3 号 論文ID: SC-2025-23
本研究では無声声門摩擦音[h]の音源の位置とその影響を明らかにするため,磁気共鳴画像より3次元の声道形状を抽出し,空力音響シミュレーションを実施した.一名の日本人男性の/ha/と/ho/を発音した際の[h]の声道形状を抽出し,それぞれの声道に対して,声門の内転を仮定した狭窄と,喉頭が安静位で開いた状態の2つの喉頭形状を設定した.シミュレーションでは圧縮性流体のナビエ・ストークス方程式を解くことで,流れと音の発生を予測した.その結果,/ha/の声道では咽頭上部から軟口蓋にかけて乱流による音源が生成されることが示された一方,/ho/の声道では,声門が開くと発生する音は20dB以上減少し,声門から主の音源が発生していることがわかった.