抄録
補充現象の有無は, 補聴器の利得調節を行なう際に重要である。現在, 乳幼児にて補充現象の有無を確認できる周波数特異性の高い他覚的聴力検査法は存在しない。周波数特異性の高い他覚的聴力検査法であるASSRを用いて補充現象を解析できれば, 乳幼児においても補充現象の有無を確認できると考えられる。
今回, ASSRで補充現象を解析することを目的とし, 聴力正常成人10名を対象に閾値上の刺激音圧と反応との関係を検討した。パワースペクトル解析では, 刺激音圧とパワーの間に相関係数で覚醒時は中央値0.96 (0.92~0.99), 睡眠時は中央値0.91 (0.81~0.99), また, 刺激音圧と潜時の間に覚醒時は中央値-0.82 (-0.76~-0.96), 睡眠時は中央値-0.97 (-0.85~-0.99) と強い相関を認めた。位相スペクトル解析では, 刺激音圧とCSM値の間に一定の相関は認められなかった。