補聴器適合検査における環境騒音の音源選定のために, 等価騒音レベル55dB, 65dB, 75dBの強さのレベルをもつ38種類の雑音と環境騒音をSD法 (Semantic Differential Method) による聴覚印象によって分類した。健聴者12名に対する音源の聴覚印象を因子分析した結果, 「迫力因子」, 「美的因子」, 「金属性因子」の音色の3因子が抽出された。ほぼ全ての音源に対して強さのレベルが増加するにつれて, 迫力因子のスコアは増加した。美的因子, 金属性因子のスコアは強さのレベルによって変化しなかった。さらに65dBの強さにおける雑音と環境音のクラスター分析を音源の因子スコアから行った結果, 補聴器フィッティングで一般的に用いられる雑音と環境音を聴覚印象によって分類できた。この分類は, 聴覚障害者が訴える環境音をすべて用いなくても, 同じクラスターのグループにある別の環境音を代用することができるため, 補聴器フィッティングに有用であると考えられる。