1994年より2009年末までに当科で治療を行った突発性難聴症例で, 初診時聴力のgradeが2, 3, 4であった578例 (男性287例, 女性291例) について, 行われた治療法, 最終治療成績, 治療法の違いによる治療成績への影響, について検討した。
各群に行われていた治療内容では, 入院治療の割合はgrade2, 3, 4の順に68%, 89%, 95%と高くなり, 高気圧酸素療法 (HBO) 施行の割合は同様に24%, 35%, 63%と高くなっていた。
各gradeにおける固定時聴力の分布は, grade2と3ではピークは10~20dB台にあって右側にやや広い分布 (grade3でより広い) になっていた。それに対してgrade4では60dB台にピークを持つ正規分布型を呈しており, grade2, 3とは明らかに異なる分布を示した。
grade2において外来治療と入院治療, grade3, 4群の入院治療例においてHBO併用の有無が治療成績に与える影響を多重ロジスティック回帰分析により検討したが, いずれの群においても二つの治療法の違いは成績に影響していなかった。
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