AUDIOLOGY JAPAN
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「新生児聴覚スクリーニング後の療育体制の問題点」
新生児聴覚スクリーニング後の療育支援体制に対する一考察
橋本 かほる能登谷 晶子原田 浩美伊藤 真人吉崎 智一
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2015 年 58 巻 2 号 p. 143-150

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抄録
要旨:新生児聴覚スクリーニング後, 養育者側に従来の支援に加え, 今後の新スク体制のあり方を考える必要があった事例を経験し, それらの療育支援について, 言語発達経過をとおしてまとめた。その結果, 新スク後のみならず, スクリーニング前から継続した支援が必要な事例があることがわかった。養育者側の要因, ならびに出生時の子どもの要因による養育者の不安によって, 前言語期訓練への影響が示唆された。母親だけでなく父親も含めた前言語期段階からの指導は, 子どもの言語発達促進につながり, 父親の療育参加を継続的にした。養育者が, 安定した状態で子どもと向き合い, 早期に療育に取り組み, さらにはわが子の将来に見通しをもって療育を継続できるように, 療育を担当する側は, 本来の耳鼻咽喉科的管理や言語指導に加えて, 患者会との連携ならびに行政へのフードバックなど, コーディネター的役割を担い, 新スク後の療育体制の充実を図る必要があると考えた。
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© 2015 日本聴覚医学会
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