AUDIOLOGY JAPAN
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原著
突発性難聴に対する短期間連続デキサメサゾン鼓室内注入療法の単独初期治療としての効果
佐々木 亮欠畑 誠治武田 育子木村 恵新川 秀一松原 篤
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2015 年 58 巻 3 号 p. 198-205

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抄録

要旨 : 突発性難聴に対する副腎皮質ステロイド (以下, ステロイド) の鼓室内投与による治療の報告は約10~15年間で数多くみられるようになってきた。しかし, 治療や聴力改善の基準が統一されていないことや症例数が少ないことなどから, その効果は明らかなものではない。我々は突発性難聴に対する治療として短期間連日デキサメサゾン鼓室内注入療法 (IT-DEX) を第一選択として行っている。CO2 レーザーによる鼓膜開窓をステロイドの注入ルートとして用い, 原則として単独治療を行っている。本治療を行った96例における治癒率は39.6%であった。また, 厚生省研究班による突発性難聴に対する単剤投与の有効性の検証に症例の基準を合致させて IT-DEX 単独初期治療の効果を検討したところ, 対象症例27例中治癒は20例, 治癒率は74.1%となり, 厚生省研究班の単剤投与の成績と比較しても良好であった。症例数が少ないことが問題と思われ, 多施設での検討などが必要ではないかと考えられた。

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© 2015 日本聴覚医学会
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