AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
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原著
質問紙を用いた軟骨伝導補聴器の自己評価
下倉 良太細井 裕司西村 忠己齋藤 修北原 糺
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キーワード: 軟骨伝導, 補聴器, 質問紙
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2017 年 60 巻 3 号 p. 168-176

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抄録

要旨: 外耳道閉鎖症のように既存補聴器が使えない症例に対し, 我々は軟骨伝導補聴器の開発を行っている。軟骨伝導とは, 耳軟骨の振動を介した音聴取であり, 従来の気導や骨導とは異なる第三の音伝導経路と言える。そこで我々は, 外耳道閉鎖症難聴者を中心に臨床研究を行い, その中で補聴器使用中 (1~3ヶ月) の聞こえ, 快適性, 日常性を評価する質問紙調査 (VAS 法と五件法) を行った。聞こえに関しては, 9人の被験者の VAS 平均が78点 (最大値100点) となり, 高い評価が確認された。また埋込み型骨導補聴器 (BAHA) 装用歴のある2名の被験者のうち, 1 名は軟骨伝導補聴器の聞こえに満足していた。五件法では, 両耳聴効果による音の方向感が確認できた。快適性・日常性に関しては, VAS 法, 五件法共に被験者の評価が分かれたが, 快適に長時間装用し続けられるという点で概ね一致した。

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© 2017 日本聴覚医学会
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