AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
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ISSN-L : 0303-8106
原著
NHS Refer 以外の理由で受診した小児難聴症例の検討
野波 尚子河野 淳冨澤 文子西山 信宏河口 幸江太田 陽子白井 杏湖塚原 清彰
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2018 年 61 巻 1 号 p. 82-89

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抄録

要旨: 2010年4月1日以降5年間に当センターに受診した15歳以下の小児557名のうち, 新生児聴覚スクリーニング (以下, NHS) 要再検査以外の理由で当センターを受診した266名について主訴, 難聴の有無などを調査した。 3歳台の受診が最も多く, 従来通りこの時期まで難聴が気付かれにくいことが推察された。「ことばの遅れ」「音への反応不良」の主訴が多く, 発達障害などの鑑別診断が依然多かった。「3歳児健康診査の再検査」は一側難聴や軽度難聴発見の貴重な機会となっていた。 年度別では, 全体の受診数が減少する一方, 0歳児受診数の割合は増し, NHS 普及と早期介入の重要性が認知されつつある傾向と思われた。 しかし, まだ全体としては早期からフォローすべき対象が網羅できていないため, 養育関係者への啓発を含め, 難聴の早期発見, その後の介入を充実させるためのシステムの構築が今後の課題であると考えられた。

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© 2018 日本聴覚医学会
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