AUDIOLOGY JAPAN
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総説
人工内耳小児のハビリテーション
諸頭 三郎内藤 泰
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2020 年 63 巻 6 号 p. 494-508

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抄録

要旨: 人工内耳小児のマッピングや言語ハビリテーション, 心理的及び社会適応上の課題と対応などの術後ハビリテーションの概要を述べた。

 人工内耳による聴覚入力と音声表出とは密接な関係にあり, 小児ではマッピングの結果が聴覚による言語学習や構音の発達に大きく影響する。従って, 小児での人工内耳マッピングでは, 強すぎる電荷量での刺激を避け, 適切な電荷量のマップで, 人工内耳を安定して継続的に装用できることが基本となる。個々の難聴原因や合併症などを勘案し, 最適な言語モダリティや言語ハビリテーションの方法や内容を検討することが重要である。また, 小児から成人に至るまで, すべてのライフステージで人工内耳での聴こえの限界に起因する心理的及び社会適応上の課題が起きることを想定し, 人工内耳の補聴援助システムを活用するなどの対応や指導が必要である。そして, 人工内耳小児自身が自分本来の人生を歩んでいけるよう, 人工内耳小児に関わる医師や言語聴覚士, 聴覚特別支援学校の教諭といった多職種による, 長期的視点にたった継続的なハビリテーションと支援が必須であると考える。

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© 2020 日本聴覚医学会
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