要旨: 当院では宇都宮方式聴覚リハビリテーションを取り入れて補聴器外来を行っており, 補聴器購入後も3カ月に1回, 補聴器再診外来で言語聴覚士が中心となり聴覚管理を行っている。再診外来が装用時間と満足度に与える影響と,「きこえについての質問紙2002」を使用した聴覚障害の包括的な評価の経時的変化について検討した。補聴器購入後6カ月以上経過し, 再診外来に定期的に受診をしている108例を対象とした。平均装用時間, 平均満足度はいずれも高値であったが有意に低下しており, 再診外来で聴覚管理を行っていても装用時間も満足度もある程度は低下することがわかった。「きこえについての質問紙」の下位尺度では「聞こえにくさ」が有意に増加し,「コミュニケーションストラテジー」は有意に低下していた。これは患者の聞こえに求めるレベルが上がっており,「聞こえにくい」と感じる場面が多くなっており, また克服しようと行動するようになったものと考えた。