AUDIOLOGY JAPAN
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原著
先天性重度聴覚障害人工内耳装用例における単音節聴覚処理能の発達変容の検討
赤松 裕介廣田 栄子尾形 エリカ樫尾 明憲坂田 阿希山岨 達也
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2021 年 64 巻 6 号 p. 565-574

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抄録

要旨: 内耳奇形例や蝸牛神経低形成例, 発達障害例を除き4歳未満に CI 手術を受けた先天性重度聴覚障害児50例の単音節聴取能について, 小学校就学期と学童期の発達変容について検討し, 以下の結果を得た。

 1) 小児 CI 装用例における学童期の単音節聴取能は平均84%と良好な結果を示し, 小学校就学期に比し平均11.5ポイントと, 概ね改善を認めた。

 2) 母音部正答率は, 学童期に平均99%に達し, 多くの例で100%に達した。

 3) 音節別正答率では無声音は有声音に比し高く, 2時期に共通していた。とくに, 摩擦音と半母音は良好であり, 単独母音や他音節に比し良好であった。

 4) 同一音素を有する音節群でも正答率, および学童期の改善に多様性を認めた。

 5) 異聴先は/n/・/k/・/m/が多く, 同一構音様式内での誤りは通鼻音と破裂音に多く見られた。

 6) 学童期の改善ポイントは, 就学期の VIQ 及び単音節聴取能と有意な負の相関を示した。就学期に言語能力に課題を示す児では,学童期の聴取能の改善を注視する必要がある。

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© 2021 日本聴覚医学会
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