AUDIOLOGY JAPAN
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聴性速反応 (Auditory Fast Response) の周波数特異性の研究
真鍋 敏毅
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1976 年 19 巻 2 号 p. 129-141

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抄録

APとBSRの周波数特性を周波数選択的マスキングによって検討した。
高域および低域からのマスキングにおいて, APの潜時は反応するcochlear partitionの最も基底側の位置で決まり, 振幅はcochlear partitionの基底側を一定にすれば, その長さで規定される。APの振幅の大部分は2.4kHz以上のcochlear partitionから生じたものである。BSRについても同様であるが, APより1オクターブ低域まで反応をみた。
Band stop noiseによるマスキングにおいて, 4kHz以上のtone pipに対するAP, BSRの域値は自覚域値上5dB, 2kHzに対してはAPが20dB, BSRが15dB, 1kHzに対してはAPは反応か得られず, BSRは域値差が30dBあった。音圧-潜時曲線は各周波数共平行に移動した。臨床上tone pipを用いてもAPは4kHz以上, BSRは2kHz以上が域値検査として有効な範囲である。

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