騒音による難聴は許容基準以上から, 直ちに聴力損失を起す強さ, すなわち危険値までの騒音によって生じる。この範囲内の騒音環境下従業では, 慢性に生ずる職業性難聴の外, 一定の時期, 場所において急激に聴器自覚症の発生ないし増悪する急性音響 (騒音) 性聴器障害があり, 後者は1959年4月より日本では労災の対象となった。これら疾患の分類と対策の外, 特に現場の適性検査 (河村), 職業性難聴の治療基準としてのTTSなどについても言及した。一方50年近く固執されてきた難聴の障害等級は, 1975年9月より大幅に改正され (最低基準60dBが30dBへ), 補償は勿論, 職業性難聴の予防及び進行防止とも関連し, 大きな問題を提起するものと思われる。