AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
ISSN-L : 0303-8106
ABRのIV-V complexに関する一考察
山川 卓也市川 銀一郎上原 紀夫江渡 篤子
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 32 巻 4 号 p. 238-243

詳細
抄録

ABRの速波成分中, IV波, V波は少からず, IV-V Complexの型をとる。 このIV-V Complexが生じる理由は未だ明らかではないが, 波間潜時 (IPL) の異常を判定する場合には, Complexの動態を十分に把握する必要がある。 今回我々は, 頭頂部関電極の位置のずれによるIV波, V波, IV-V Complexの変化と, 当科外来にてABR検査施行例においてのIV-V Complexの出現率について検討を加えた。
頭頂部関電極を頭頂 (Cz) 及び, その前後左右3cmの距離をおいて設置し, ABRを記録したが, IV波, V波, IV-V complexを含め, 潜時, 波形にほとんど変化は認められなかった。 また, 音刺激間隔を短くすると, IV-V Complexの頻度は高くなった。
次に, 当科外来にて, ABR検査を施行し, 正常と判断した症例に於て, IV-V Complexは30%以上に出現し, 3回連続記録を行なうとその65%にIV-V Complexが出現することがわかった。

著者関連情報
© 日本聴覚医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top