AUDIOLOGY JAPAN
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蝸牛内リンパ・外リンパへのフロセミドの移行性について
待木 健司原 晃草刈 潤
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1991 年 34 巻 1 号 p. 53-57

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抄録

フロセミド100mg/kg静注後のモルモット蝸牛内リンパ・外リンパ中のフロセミド濃度をHPLCを用いて経時的に測定した。 その結果, 鼓室階外リンパに於いては静注後15分にピーク値 (4.9μg/ml) を示し以後急速に濃度は減じた。 前庭階外リンパは緩やかな濃度増加を示し, 2時間値は, 4.0μg/mlであった。 一方, 内リンパに於いては60分に緩やかなピーク (1.6μg/ml) を示し, その後緩やかに濃度を減じた。 更に, 陰イオン物質の拮抗阻害剤であるプロベネシドの前投与により, 鼓室階外リンパ中のフロセミド濃度変化は大きく変化し, 前庭階外リンパ中のそれと近似したのに対し, 内リンパ中では2時間値を除いて不変であった。 これらから, 内リンパ中へのフロセミドの移行は, 血中からの高度なbarrierを介したpassiveなものであると結論した。

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