AUDIOLOGY JAPAN
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小児の耳鳴に関する臨床的研究
村井 和夫浅野 義一金田 裕治小笠原 真村井 盛子立木 孝
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キーワード: 小児, 耳鳴, 難聴
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1993 年 36 巻 4 号 p. 249-257

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抄録

一般に小児における耳鳴出現頻度は成人に比較して低いとされているが, その報告は少なく, また検討対象も様々で, 必ずしも小児耳鳴の実態を確実に捉えているとは言えない。 今回, 1986年11月から1989年9月迄に当科を受診し, 純音聴力検査を施行した6歳から15歳迄の小児647例のうち, 耳鳴の有無の記載が明確であった463例を対象として, 小児耳鳴の臨床症状について検討した。 その結果, 463例中190例 (41.0%) に耳鳴を認め, このうち常時耳鳴を訴えたものは30例 (6.5%), 時々訴えるものは160例 (34.5%) であった。 耳鳴の出現率は加齢とともに徐々に上昇する傾向がみられた。 耳鳴は耳疾患のある例に高率にみられ, 常時訴える耳鳴は感音疾患に, 時々訴える耳鳴は伝音疾患に多く見られた。 また常時耳鳴を訴える例の平均聴力レベルは時々訴える例よりも大きい値を示し, 難聴との関連性が示唆された。
標準耳鳴検査法1984が作成され, 耳鳴の性状について種々の面から検討が加えられその成績が報告されているが, 未だ耳鳴の成因, 病態を明らかにするまでにはいたっていない。
この報告は小児に見られた自覚的耳鳴 (以下耳鳴と記す) について, その統計的観察を行うとともに耳鳴と疾患, および難聴等の関連性など小児耳鳴の臨床像について検討したものである。

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