AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
ISSN-L : 0303-8106
デジタル補聴器における伸長増幅の検討
設楽 仁一小寺 一興鈴木 真純三浦 雅美
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 37 巻 3 号 p. 177-182

詳細
抄録

伸長増幅は入力音圧レベルの増大に伴い, 一定の比率にしたがって増幅度が大きくなる新しい増幅法である。 伸長増幅はSN比を改善するのに有用であるが, 伸長増幅を作用させることは, 同時に語音も変化させる。 デジタル補聴器HD-10を用い, 6名の正常者を対象に, 語音明瞭度における伸長増幅の効果を検討した。 SN比10dBの条件下で語音明瞭度検査を施行した。 全周波数帯域に1:2の伸長比で伸長増幅を作用させた場合には, 語音明瞭度は低下しなかった。 しかし1:4, 1:8の伸長比では伸長増幅を作用させなかったときと比べて著明に明瞭度が低下した。 一方, 伸長増幅を低および高周波数帯域にのみ作用させたときには, すべての伸長比において語音明瞭度は低下しなかった。 低および高周波数帯域のみに伸長増幅を作用させた場合には, 語音明瞭度を低下させずに雑音を軽減する効果がある。

著者関連情報
© 日本聴覚医学会
次の記事
feedback
Top