AUDIOLOGY JAPAN
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同一被験者, 同一課題における事象関連電位の頂点潜時の再現性について 背景脳波および覚醒水準の変動との関連で
小嶋 知幸加我 君孝石川 史人斉藤 陽一石川 貞夫
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1994 年 37 巻 3 号 p. 183-189

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抄録

事象関連電位 (以下ERP) の加算波形の潜時における, (1) 同一個体内での再現性, (2) 覚醒水準の低下に伴う変動について, 加算前の素反応および背景脳波との関連で検討することを目的とした。 健常成人9名を対象とし, 聴覚刺激によるオドボール課題を反復して3回以上施行し, N1, P2, N2, P3を分析対象とした。 また, 脳波の同時記録を行った。 結果, 9名中覚醒を維持した被験者 (以下W群) が5名, 実験中覚醒水準の低下 (Stage 1まで) を認めた被験者が4名であった。 結論として, (1) W群でもERPの潜時の再現性には個人差が認められた。 (2) 覚醒水準の低下により, 潜時の変動係数の個人差が大きくなった。 (3) Stage 1前半ではα波の変動および標的刺激後のα波の位相の同期が加算波形に影響を与えている可能性が考えられた。 (4) Stage 1後半では標的刺激がトリガーとなり, 睡眠-覚醒のパターンが繰り返され, 覚醒状態での認知・判断とは異なる反応が生じている可能性が考えられた。

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