1994 年 37 巻 3 号 p. 210-215
突発性難聴25例に対して血液粘度, 血漿粘度を経時的に測定した。 対照群と比較検討したところ血液粘度, 血漿粘度に有意の上昇を示し, その差はずり速度が高値になるほど著明となった。 血液粘度と初診時の平均聴力との間に正の相関を認め, 高音障害型での血液粘度の上昇は聴力障害の程度に比して軽度であった。 血漿粘度に関しては低音障害型の症例において初診時の平均聴力との間に正の相関を認めた。 また, 治療を開始すると一般に経過とともに血液粘度, 血漿粘度は正常化する傾向がみられた。 聴力の回復に関しては短期間に急速に回復する群と血液粘度, 血漿粘度と聴力が正の相関を持って徐々に回復する群の2つの型に分けられた。 以上より血液粘度, 血漿粘度の測定は突発性難聴の治療方針の決定, 病因の推定等において有意義と考えられた。