AUDIOLOGY JAPAN
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当科小児難聴外来の受診状況-三歳児健診前後での検討-
中尾 美穂西山 彰子粂 俊之志多 真理子進藤 昌彦立本 圭吾小宮 精一小野 寿之村上 泰和田 義正
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1995 年 38 巻 1 号 p. 77-86

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抄録

京都府では1991年から三歳児健診に耳鼻科健診が取入れられ3年余りが経過した。最近6年間の当科小児難聴外来の初診患児468例を対象に受診内容を検討し, 健診の前後で比較した。健診開始後, 小児科医及び保健所からの紹介例の増加がみられ, 後者については健診により保健所との連携が強まったためと考えられた。ただし保健所紹介例において発見された難聴児数は増加していなかった。平均受診年齢は高度難聴1歳5カ月に対し中等度難聴3歳8カ月とやや遅れがみられた。高度難聴例において約1/3は受診が2歳以降であり, 早期発見の重要性をより認識し, 1歳半健診を充実していくことが必要である。中等度難聴例では症状が不明瞭で早期発見が困難なものがあり三歳児健診における検出が期待されるが, 今後健診では難聴の疑いに関して問診や質問表でより詳細に検討し, 囁語法や指こすり等の検査を実施することが望ましいと考えられた。

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