AUDIOLOGY JAPAN
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インターフェロンによる聴覚障害 血中脂質濃度及び網膜病変との相関性
廣芝 新也岩永 迪孝
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1996 年 39 巻 4 号 p. 279-283

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抄録

インターフェロン治療を行ったB型またはC型肝炎患者62症例を対象に難聴, 耳鳴等の聴覚障害の出現頻度について調査した。 また, インターフェロン網膜症, 血中脂質濃度と聴覚障害出現との相関性について検討した。 聴覚障害を認めたのは10例でいずれも症状は軽く, 投与中または投与中止後に回復した。 聴力が低下した症例1例では, BekesyがI型からII型に変化しており障害部位として内耳が考えられたが, 他の症例についてはBekesy, SISIとも投与前と比べ変化はなく, 障害部位は不明であった。 また, インターフェロン網膜症, 血中脂質濃度と聴覚障害発症の間には明らかな相関関係は認めず, 血管病変との関連も否定的であった。 インターフェロンによる聴覚障害には血管病変とは別の機序が関与している可能性が示唆された。

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