抄録
聴力正常者の誘発耳音響放射検査 (EOAE) の検出閾値と潜時を測定し, 性差, 左右差および再現性について検討した。
対象は聴力正常な14名 (男:女=6:8), 28耳で, 平均年齢は24.5±1.9歳 (男25.3±2.3歳, 女23.9±1.4歳) であった。
総持続時間3ms, 刺激周波数1kHz, 1.2kHz, 1.4kHz, 1.6kHz, 1.8kHzおよび2kHzの短音を音響プローブN-1 (コルチトーン社) より発生させてEOAEを記録した。 解析時間は20ms, 周波数帯域は0.2-3kHzとした。 医師3名の一致した見解で検出閾値の反応波を決定し, 刺激開始時よりその反応波のピークまでの時間を潜時とした。
2kHzの検出閾値以外に性差および左右差は認められず, 良好な再現性を得た。
刺激周波数が変化しても検出閾値には有意差は認められなかったが, 一方, 潜時には明らかな有意差が認められた。 刺激周波数が高くなるにつれて潜時は短縮した。 1kHzと2kHzの潜時には2.4msの差が存在した。