適応法による周波数弁別閾測定 (1000Hz) における訓練の学習測度として正答率と共に反応時間を用い, 測定に未経験の高齢被験者 (61-69歳男性10名) の訓練および周波数弁別閾測定過程を検討した。また, 測定中に素早い応答を要求する教示を行った「教示群」と, 教示を行わない「非教示群」の2群に分けて教示の影響も検討した。その結果, 1) 音刺激の有無を検知するだけの単純反応時間測定課題では, 両群ともに50試行程度で反応時間が安定し, 訓練が完了した。2) 教示群では, 約160試行で訓練中の反応時間がプラトーに達し, 反応時間を応答操作の訓練完了の一つの基準として利用可能な事が示唆された。3) 測定を続けると, 徐々に周波数弁別閾が低下していく傾向が見られる。どの時点の閾値を採択するか基準が必要であるが, 教示群における訓練完了後の閾値を採択するという方法が, 一つの有望な基準だと考えられた。