1999 年 42 巻 1 号 p. 48-56
ラウドネス補償機能を有する補聴器の特性を最適に決定するためには, 当該難聴者のラウドネス関数をできるだけ正確に測定する必要がある。 我々がこれまでにラウドネス関数の測定に用いてきた二段階評定尺度法は, 分解能と精度の観点からは魅力的な方法である。 しかし, 従来の一段階評定尺度法に比べてほぼ2倍の時間が必要であり, 検査方法が一段階評定尺度法より複雑であるなどの短所を有している。 そこで, 本論文では, 新しいラウドネス関数測定手法として, 一段階細分化評定尺度法の提案を行う。 この方法では, 1回のラウドネス評定には1度だけ刺激音を提示して, 評定語と評定語の間の判断も許すものである。 この方法は, 手続きも簡単であり, 通常の一段階評定尺度判断よりむしろ短い所用時間で, 二段階評定尺度法と同じ分解能のデータが得られることが明らかとなった。