三重県における三歳児耳鼻咽喉科聴覚検診は, 厚生省方式の質問票から耳鼻咽喉科医が要精検児を抽出し精検票を発行し, 委託医療機関で精密検診を受けるシステムになっている。 このシステムの現状と問題点を把握するために, 平成9年度4-12月の三歳児聴覚検診について県下69市町村にアンケート調査を行い, 63市町村, 162名の精検票を確認した。 精検票発行率は2.18%, 受診医療機関は77.8%が診療所で, 聴力検査の実施率は32.7%, ティンパノメトリーの実施率は71.2%であり, 一側性神経性難聴が1例検出された。 健診の場での問題点として市町村の精検票発行率のばらつきが大きいこと, 精密検診機関の問題として聴力検査の実施率が低いこと, 診断名が検診の目的に対し不十分であること, その後の問題として高次精密検診のルートが確立されていないこと, 検診結果のとりまとめや市町村への啓蒙の中核となるシステムが整備されていないこと, が挙げられた。
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