AUDIOLOGY JAPAN
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両側感音難聴が初発症状であった 全身性エリテマトーデス (SLE) の一症例
仲野 敦子仲野 公一沼田 勉今野 昭義
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1999 年 42 巻 3 号 p. 191-195

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抄録

SLEによる自己免疫性内耳障害が, SLE発症初期に出現し, ステロイド治療に反応し聴力の改善を得られた症例を経験した。
症例は初診時13歳の男子である。 数ヵ月間に徐々に進行した原因不明の両側性高音漸傾型の感音難聴があり, 当初突発性難聴に準じたステロイド治療が施行されたが聴力は改善せず, 約1ヵ月後, 他の症状が出現してSLEの診断が確定した。 SISIテスト, 自記オージオメトリでは, 内耳障害を示唆する所見であった。 SLE診断確定後, PSL 60mg/日の内服により聴力は改善したが, PSL 40mg/日に減量したところで聴力の再悪化があり, またその後も原疾患の病状と平行する様に聴力は変動した。 発症後, 三年余が経過したが, ステロイド治療の他, 免疫抑制剤, 血漿交換, および高気圧酸素療法を併用し, 原疾患のコントロール及び聴力の改善が得られている。

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