AUDIOLOGY JAPAN
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聴能に関る生活の質指数自記式質問紙日本版の開発
第二報: 因子分析による尺度の構成
佐藤 昭三鈴木 庄亮長井 今日子鎌田 英男古屋 信彦
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2000 年 43 巻 1 号 p. 63-71

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抄録

40-92歳男女1,141名に質問紙聴能に関る生活の質指数を実施し, Y. R. R. 12%以上の689名 (60-92歳) のデータの因子分析により「A: 聴能の社会的不利」「B: 意志伝達能低下」と命名できる2つの因子が抽出され, A, B 2尺度を構成した。 単一因子性, クロンバックのα信頼係数, 内容的妥当性と判別的妥当性は, 満足できる結果であった。 質問項目を2大別するA, B尺度は, 分析対象689名 (標準集団) に潜在する心理的側面をQOLの側から構造的に接近することができた。 1,141名の尺度付与の検討では, 成人中期と後期のQOLの構造は異なる。 後期は, A, B因子に起因するストレス源による精神心理発達への負の影響をQOLの面から示した。 本評価法は聴能に関る他者との関係をA, B尺度で定量的に評価できて, Giolasらの提唱する聴能の総合評価の試みを可能にするものである。

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© 日本聴覚医学会
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