2000 年 43 巻 1 号 p. 54-62
難聴者に純音聴力検査成績では説明できないQOLの低下例を散見したので, 聴能のQOLに関る既存の質問に本邦の生活文化を考慮し, 1) 「ことば」による意志伝達能 (Q1-Q6), 2) 社会的不利 (Q7-Q13) と3) 補聴器 (Q14-Q17) に関る17項目から成る「聴能に関るQOL指数」という多肢選択自記式質問紙を作成した。 群馬県一地域住民40-92歳の男女を調査し, 有効回答1,141名, 有効回答率73%を得た。 質問選択肢応答割合分布, 性差と年代別陽性応答割合の有意差を検定した。 QOLの低下度が強い選択肢ほど低い分布を示した。 Q5とQ6の低下は, 男子が高率であり, 1), 2) の13項目は加齢で高率になった。 3) のQ15は加齢で高率になり, Q17は加齢で高率になるが80歳以上で低率になり, Q14は加齢で低率になり, Q16は年代差が認められなかった。 本質問上の聴能に関るQOLは加齢で低下することが認められた。