2000 年 43 巻 2 号 p. 164-168
幼小児の先天性および後天性難聴において, 聴力の長期予後を知ることは聴覚管理や聴能訓練を行う際に重要である。 今回, 高知県難聴幼児通園センター (現高知県療育福祉センター) にて聴能訓練を行った難聴児のうち, 長期に聴力検査を行えた症例についてその経過を報告する。 幼児性難聴の多くはその経過中に聴力の悪化が認められ, 両耳が同時に悪化することが多いと推察された。 聴力悪化のパターンは, 幼児期に急速に悪化した後ゆっくりと悪化していくものと, 全過程を通じて緩徐に悪化していくものの二つに大別されるようである。 また今回の結果からは, 難聴の進行の原因として明らかなものは無く, 個々の症例における聴器の障害程度や受傷性の違いによるものと考えた。