AUDIOLOGY JAPAN
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IA法則はどのように説明されてきたか? 日本聴覚医学会編 「聴覚検査の実際 (南山堂)」 の場合
磯貝 豊
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2002 年 45 巻 1 号 p. 44-54

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抄録

従来の純音聴力検査のためのマスキング理論の歴史的盲点は, 両耳間移行現象と同側の骨導聴力の関係から論理的に導き出せる, 気導 (受話器) の両耳間移行減衰量IA≧気導骨導差という関係法則 (IA法則) である。 IA法則から, (1) マスキングなしに求まる悪聴気導聴力レベルと良聴骨導聴力レベルとの差分は気導のIAを越えない, (2) マスキングなしに求まる気導聴力が陰影聴取 (SH) されるのは悪聴気導聴力耳だけ (両耳の気導聴力が等しければ, 左右いずれか一耳だけ), (3) 陰影聴取された悪聴気導聴力レベルと良聴骨導聴力レベルとの差分は気導のIAに等しく, 対側の骨導聴力は良聴骨導聴力レベル, 陰影聴取側の骨導聴力は気導の陰影聴取分以上対側の骨導聴力より大, という関係 (SH法則) を導出できる。 我が国の聴力検査法の手引書である本書にもIA法則が説明されていないが, マスキング理論を正しく理解するためにはIA法則が不可欠である。

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