AUDIOLOGY JAPAN
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エアバッグによる音響外傷の一例
野澤 真理子野口 佳裕堤 剛岡村 洋沖戸叶 尚史喜多村 健
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2002 年 45 巻 6 号 p. 692-696

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抄録

近年エアバッグの普及に伴い, 交通事故時の安全性は向上したものの, 一方で副傷害の報告もなされている。 今回われわれは, エアバッグ作動に伴う強大音により, 音響外傷をきたしたと考えられる急性感音難聴例を経験した。 症例は64歳男性で左難聴, 耳鳴を主訴に当科を受診した。 純音聴力検査では, 谷型の中等度感音難聴を示した。 ABLBテスト, 歪成分耳音響放射, 蝸電図, ABRを施行し, 聴覚障害部位は蝸牛と考えられた。 突発性難聴に準じ, 副腎皮質ホルモンを中心の薬物療法を行ったが, 受傷半年後も左聴力低下は不変であった。 交通外傷時の聴力障害の原因として, エアバッグの作動時の強大音により音響外傷が生じうることを念頭に置く必要がある。

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