AUDIOLOGY JAPAN
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一般聴取者が受聴する重度聴覚障害者の構音に関する一考察
加藤 靖佳
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2003 年 46 巻 1 号 p. 44-51

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抄録

一般聴取者がどのように重度聴覚障害者の構音を受聴しているのかについて検討するために, 先天性感音聴覚障害を有する大学生1名が57-S語表をもとに検査語音を発語し, その単音節発語明瞭度を測定した。聴取者として健聴成人316名が選ばれた。平均発語明瞭度は24.3%であった。検査語音の中には, 80%以上の聴取者により正しく受聴される音節がある一方, 全く別の音に置き換わって受聴される音節が認められた。これらの音節は今後, 発音・発語指導等で修正が必要となる音節であることが示唆された。また, 同じような正答率であってもある特定の音節に聴き取られる場合と, 多くの誤った音節に聴き取られる場合の両者に区別することができ, 曖昧に受聴されやすい音節を特定することが可能であった。重度聴覚障害者の構音を検討する際, 単音節発語明瞭度を指標とした, 多数の一般聴取者による受聴傾向を考慮する必要のあることが示唆された。

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