2003 年 46 巻 3 号 p. 175-180
今回我々は, 急性中耳炎で日本赤十字社和歌山医療センターを受診し, 内耳障害の認められた43例47耳について検討を行った。 症例は男性19例, 女性24例で, 年齢は16歳から78歳 (平均年齢49歳) であった。 初診時の症状は難聴, 耳痛, 耳鳴, 耳漏, めまい感であった。 内耳障害の診断は聴力検査で少なくとも1周波数以上で15dB以上の骨導閾値の上昇を認めるものとした。 全症例に抗生剤, ステロイド, ATP製剤およびビタミンB製剤の点滴または内服投与を行い, 26耳に鼓膜切開術を, 10耳に鼓膜チューブ留置術を行った。 急性中耳炎に伴う内耳障害は比較的予後が良好とされるが, 8耳で不変例を認めた。 入院治療例と外来治療例では聴力予後に差が生じており, 本疾患では積極的な消炎治療と安静が必要であると考えられた。