2003 年 46 巻 3 号 p. 201-206
平成7年から13年までの7年間に機能性難聴と診断された112例を対象に, 純音聴力検査で持続音と断続音を刺激音として用い域値差を比較した。 7周波数のうち, 持続音と断続音の域値の間で10デジベル以上低下あるいは上昇する周波数の数を検討した。 機能性難聴症例は, 男性19例, 女性93例で, 年齢は6歳から48歳, 中央値10歳であった。 対照として同時期に同様に検討した機能性難聴以外の1000例2000耳を用いた。 その結果3周波数以上で持続音の域値が断続音の域値よりも10デシベル以上低下したのは機能性難聴症例112例中60例53.6%であった。 一方対照1000例では, 成人の労災申請時の誇大難聴症例3例4耳のみであった。 また15歳以下の小児にかぎると3周波数以上の持続音の域値が低下したのは機能性難聴のみであった。 本方法は診療所でも診察中に行える簡便さと, 機能性難聴診断における高い特異度が特徴であると思われた。