2004 年 47 巻 2 号 p. 126-130
両側外耳道閉鎖症・小耳症の2症例に骨導型に改造した耳掛け形デジタル補聴器を装用させその効果を検討した。2症例とも乳児期より従来の骨導補聴器を装用して当園で定期的な療育を受けた結果, 言語および聴能の発達は順調であった。
しかしながら, 療育を通して聴覚活動が進むにつれ環境音に対するうるささを認識するようになり, また集団での補聴器装用時の聞き取り改善を訴えるようになったため, 装用効果の改善を目的として骨導型に改造したデジタル補聴器の装用を開始した。デジタル補聴器装用後, 2症例ともにうるささが軽減し, 雑音下での語音明瞭度が改善した。
伝音難聴児の場合は, 強大音が響くといった訴えは少ないが, 集団での補聴器による聞き取りの改善を訴えるようになった時点で感音難聴児と同様にデジタル補聴器の検討をするべきと考えられた。