AUDIOLOGY JAPAN
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Fabry 病2症例の聴覚障害について
和田 匡史佐藤 斎壁谷 雅之土屋 乃理子藤崎 俊之高橋 姿
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2004 年 47 巻 4 号 p. 263-267

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抄録

Fabry 病はα-galactosidase A活性の遺伝的欠損または低下により生ずるX染色体劣性のスフィンゴ糖脂質代謝異常疾患である。血管の内皮細胞や平滑筋細胞をはじめ全身の細胞のライソゾームにスフィンゴ糖脂質が蓄積することにより被角血管腫, 四肢末端痛, 低汗症, 角膜混濁, 脳血管障害, 腎障害, 心障害など様々な症状を呈する。
今回, 聴覚障害を伴った Fabry 病の2症例を報告した。症例1は51歳男性で2度の突発難聴を認め, 慢性腎不全で経過観察中に Fabry 病と診断された。症例2は47歳女性で高音障害型感音難聴を認めた。いずれもSISI検査, 自記オージオメトリーで内耳性難聴を呈した。難聴の発症機序として蝸牛栄養血管へのスフィンゴ糖脂質の蓄積の関与が考えられた。腎障害など全身症状のある原因不明の感音難聴には本症も念頭におく必要があると思われた。

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© 日本聴覚医学会
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