抄録
軽・中等度難聴児の現状把握のため, 1998年7月~2004年3月の間に, 当科小児難聴外来を受診し, 軽・中等度難聴と診断された, 平均聴力レベル25dB以上70dB未満の53名につき検討した。
分類は症候群性7名, 非症候群性44名, 周産期障害2名であった。初診時平均年齢は5歳6ヵ月 (1ヵ月~15歳) で, 6ヵ月未満と6歳代にピークがあった。
6ヵ月未満児7名のうち, 新生児聴覚検査から診断に至ったのは4名であった。発見が遅れた児には補聴器装用困難や言語面の問題が認められた。3ヵ月以上経過を観察した46名のうち31名が補聴器を購入していた。聴力レベルが高いほど購入率が高く, 装用時間も長かった。
スクリーニングで乳児期早期に発見される軽・中等度難聴児をどう取り扱うかという問題が浮上している一方, 依然として就学年齢前後に発見される症例が多く, 従来からの健診もさらに充実させ, 啓発に努めるべきであると考えられた。