AUDIOLOGY JAPAN
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難聴診断における遺伝子検査の現状
宇佐美 真一
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2006 年 49 巻 4 号 p. 346-352

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抄録

難聴の遺伝子検査が日常診療でも可能な時代になってきた。遺伝子診断を行うことにより正確な診断, 難聴の程度の予測, 随伴症状の予測, 原因による治療法の選択, 正確な遺伝カウンセリングが可能となってきた。先天性難聴患者の原因遺伝子として多く認められるGJB2遺伝子, ペンドレッド症候群および前庭水管拡大を伴う非症候群性難聴の原因遺伝子として劣性遺伝形式を伴う難聴家系に多く見いだされるSLC26A4遺伝子, アミノ配糖体抗生物質に対する高感受性と関連するミトコンドリア遺伝子1555A→G変異の3つの遺伝子が日本人難聴患者に高頻度で見いだされる原因遺伝子であることが明らかとなった。インベーダー法は多種類の遺伝子変異を同時にスクリーニングできる解析方法として有用な方法であるが, 多くの遺伝子が関与している難聴の場合, 日本人難聴患者に見いだされる遺伝子変異のデータベースにもとづいてスクリーニングするのが効率的であると思われる。

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