2007 年 50 巻 2 号 p. 122-128
約7年間の新生児聴覚スクリーニング検査とスクリーニングにて要精査となった症例の精密聴力検査について検討した。1653例に新生児聴覚スクリーニング検査を施行し, 要精査例は54例 (3.2%) であった。県下8施設の産科医院における新生児聴覚スクリーニングにて要精査と判定されて当院を受診した41例と当院要精査例のうち再検査に受診した51例計92例についてその経過を検討した。その結果, 自動化機器による再検査でパスした症例は67% (62例), conventionalABR (cABR) にてパスした症例は12% (11例) で, 21% (19例) に難聴を認め早期介入が可能であった。産科医院よりの紹介例は1ヵ月検診など複数回の検査を経て受診しているため, 要精査例中難聴と診断された例は41% (17例) と高かった。生後3~4ヵ月で施行したcABRにて難聴と考えられた例では, 症例数は多くないものの, 経過を追って正常と診断が変わった例はなかった。