2007 年 50 巻 2 号 p. 129-135
新生児聴覚スクリーニングを契機として2000~05年に当科を受診した64例を検討した。CORとABRによる精密聴力検査の結果, 32例 (50%) が難聴と確定診断された。両側 refer 16例中9例 (65%) が両側難聴と診断され, 片側 refer にもかかわらず両側難聴と判明した例が47例中6例 (12%) あった。2例は難聴の後発進行, 4例はスクリーニング偽陰性が疑われ, 片側 refer 例の慎重な経過観察はきわめて重要と思われた。スクリーニング検査の回数の記載があった37例中34例 (NICU例を除く) が refer 判定までに複数回施行されており, 難聴の診断陽性率とあわせ, 偽陽性を減らす努力が伺われた。公的スクリーニングが未導入の新潟県においても, 手引書の作成配布などがある程度有効と推測されたが, 精密検査機関へ適切に紹介されない例は減少しておらず, 継続的な周知啓発とともに, 公的導入が強く望まれる。