抄録
トーマス・ベルンハルトの小説『Woodcutters―伐採―(Holzfällen)
』を原作とする日本語字幕付きポーランド語の上演が、ポー
ランドの巨匠とも言われるクリスチアン・ルパの翻案・美術・照
明・演出で行われた。フェスティバル・トーキョーの目玉企画であ
る。様々な凝った工夫によって、四時間半の長丁場にもかかわらず、
ほとんど苦痛を感じさせずに緊張感を持続させて、非常に良い舞台
であった。ただし本邦初のベルンハルト作品の本格上演であったこ
とを考えると、やはり「原作」と「翻案」と「演出」、何よりも「ド
イツ語」と「ポーランド語」による印象の相違が、かなり大きかっ
たようにも思える。