野生生物と社会
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事例報告
長野県小諸市の野生動物マネジメントシステムと大学との協働─成果と課題─
南 正人竹下 毅川原井 晋平平 健介竹田 志郎菊水 健史福江 佑子
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2021 年 9 巻 p. 15-24

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抄録

 長野県小諸市の野生動物マネジメントシステムは全国的に注目されている.捕獲事業を猟友会依存から行政の直轄事業へと切り替え,専門的な知見を有する野生鳥獣専門員が指揮し特別職非常勤公務員として委嘱された実施隊員などで構成される「小諸市野生鳥獣対策実施隊」による効率的な捕獲が行われるシステムが構築された.猟友会委託時に比べるとシカの捕獲数は約3倍,被害額は約4分の1となり,被害軽減に大きな成果をもたらした.また,その活動と成果の記録が行政へ集約され,錯誤捕獲問題にも責任をもった対応が行われている.さらに,捕獲個体の処分費の軽減と鳥獣被害対策費の財源確保を主たる目的として,おもに捕獲数の多いシカを利活用する「小諸市野生鳥獣商品化事業」が実行され,小諸市野生鳥獣商品化施設が整備された.近隣の佐久市,軽井沢町からの搬入も行われるようになり,広域の駆除個体の処理を担う施設となった.2019年度(令和元年度)の利活用頭数は1,519頭まで増加し,小諸市にて許可捕獲された219頭は,全て利活用された.事業損益は2018年度(平成30年度)には黒字化を達成した.利活用の中心的商品であるペットフードの安全性や機能性,さらに高付加価値製品の開発などについて麻布大学との共同研究が行われている.

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© 2021 「野生生物と社会」学会
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