抄録
高等教育機関におけるソフトウェアの組織的導入は、単純に決定しうる事柄ではない。様々な諸条件の上で費用負担のあり方などの考慮や調整を要するものである。では実際にどのようにして組織的な意思決定が可能となるのであろうか。本稿では京都大学におけるMicrosoft365の学内提供のあり方の転換プロセスを取り上げ、プロセスを詳述するとともに高等教育機関の意思決定モデルに基づいてこのプロセスの解釈を行う。これにより単純なソフトウェアの組織的導入の事例紹介にとどまらず、モデル等による抽象化を用いた事例解釈の端緒となることを目指すものである。