抄録
この論考では、著者の提案する情報・知能モデルを基礎としてLLM(大規模言語モデル)を含む広義のAI(人工知能)の近年の発展が、情報教育に何をたらすかを考察する。特にその上で必要な認識、すなわち「理解する」とはどういうことかに関して、「理解のモデル」を提案したい。ここで著者が提案する従前の情報・知能モデルには2つあり、1つは「情報のモデル」、もう一つは「知能のモデル」である。これらは有用かつ実用的で汎用性が高く、人間がAIを理解する上で必要と考えられる。しかし十分ではない。なぜなら情報と知能のモデルだけでは、人間が「考える」ことについて言及できないからである。そこでこの論考では「考える」こと自体の解明の第一歩として、新たに「理解する」とはどういうことか考察する。「理解」とは「抽象化」であるという認識に至ることを示す。