2025 年 5 巻 1 号 p. 1-7
本研究の目的は、AYA世代がん患者に提供されている診断時から終末期に至るまでの緩和ケアの実態と課題に関する看護師の認識を明らかにすることである。AYA世代がん患者の治療/継続観察を行っている部署に所属している看護師を対象に質問紙調査を行った。1,329名の回答を分析した結果、緩和ケアの開始時期は「診断時から」と「初回治療時から」が49.4%であったが、小児診療科に所属する者は「治療が望めないと判断された時から」「再発時から」「全身状態が悪化した時から」と回答した割合が成人診療科に所属する者よりも有意に高かった(p<0.05)。他の世代と比較してAYA世代では「たまにある」または「よくある」と回答した緩和ケアの状況は、「本人の病識や自覚が曖昧な状態でターミナル期を過ごしている」590名(44.4%)が最も多かった。緩和ケア実施に対する相談・支援体制は、「カンファレンス」1,181名(88.9%)が最も多く、「学会・研修会」は309名(23.3%)であった。AYA世代がん患者の看護に従事する全ての看護師を対象とした緩和ケアに関する教育の機会を設ける必要がある。