2024 年 2 巻 1 号 p. 17-23
日本特殊教育学会第61回大会自主シンポジウム「わが国における場面緘黙研究の現在と今後の方向を考えるIX」において、高校入試に新しく導入された「英語スピーキングテスト」(東京都)及び「自己表現」(広島県)という入試制度について、場面緘黙のある子の保護者の立場からの考えとして話題提供した。本論文ではまず、「中学校英語スピーキングテスト」(東京都)を一例として取り上げ、「主体的な学び」へと変化していく学校教育において高等学校入学者選別での「スピーキングテスト」が場面緘黙のある生徒にとってどのような困難をもたらすのか、困難解消のための必要な配慮が行われているか、そして場面緘黙のある生徒を取り巻く現状と課題について検討した。次に、全国で初めて実施された「自己表現」(広島県)という入試制度について、場面緘黙の生徒にとって必要な配慮がなされているといえるのかという課題、及び場面緘黙の生徒と取り巻く環境改善につながるのではないかという期待について、保護者目線からの意見を述べた。