2024 年 13 巻 1 号 p. 5-15
本稿では,わが国におけるオルタナティブデータを用いた経済研究のサーベイを行う.経済研究におけるオルタナティブデータの活用と研究の発展に大きな弾みがついたのは,2020年以降の新型コロナの流行下であった.ナウキャスティング,経済行動・経済構造の変化の把握,政策効果の計測・評価など,幅広い分野で多くの研究が進み,変動の激しい時期の経済分析には,とりわけオルタナティブデータが有用であることが示された.もっとも,その後は新型コロナ関連以外の分析も増えるなど,研究分野は広がりつつある.一方で,オルタナティブデータ活用の課題として,とくにデータの信頼性の観点からは,基本的な性質や公式統計との関係性についての知見がまだ足りない点,標本抽出・標本設計の適切性を確保するための取り組みが必要な点などを指摘することができる.