本研究は,多重対応分析(MCA)の解を,斜交回転した負荷行列を生み出す主成分分析(PCA)の結果として解釈可能な形に変換するための一方法を提案する.MCAの各変数に対応する個別数量化得点を正規直交化することにより,MCAの定式化がPCAのそれに変換される.さらに,カテゴリーに付与される重みの不定性を利用して,正規直交多項式による数量化を行い,得られた変量に回転をともなうPCAを適用する.以上の手続きは,MCAに対して許容される変換の範囲にあることが示される.実データの分析を通じて,Likert尺度の通常の用法について一定の正当性が示されるとともに,評定尺度に関する新たな情報を引き出す可能性が示される.