2019 年 26 巻 p. 31-40
横浜自然観察の森で実施しているモニタリングサイト1000里地調査の「中・大型哺乳類調査」の、2008年から2017年までに取得した自動撮影カメラによるデータを用いて、各動物の撮影個体数の10年間の経年変化、および日周活動について解析した。
1 哺乳類は、在来種は3種(多い順に、タヌキ、ニホンノウサギ、ニホンイタチ)と1属ネズミ類(アカネズミかヒメネズミ)、外来種は3種(タイワンリス、アライグマ、ハクビシン)、その他2種(ネコ、イヌ)、鳥類の在来種はカラス類と、少数ずつ撮影された13 種、外来鳥類は2種(コジュケイ、ガビチョウ)が撮影された。
2 10年間で減少傾向を示したのはニホンノウサギ(減少率約30%)、タイワンリス(約20%)、ハクビシン(約10%)、アライグマ(捕獲開始前は約10%、開始後は約20%)、増加傾向を示したのはタヌキ(増加率約20%)、ネズミ類(約15%)、ネコ(約15%)、ガビチョウ(約70%)であった。
3 増減の傾向が全国と同じ種は、減少傾向にあるニホンノウサギ、増加傾向にあるタヌキとガビチョウであり、コジュケイはどちらでも経年変化は検出されず、ハクビシンとアライグマは、全国では増加しているが、観察の森では減少していた。
4 日周活動は、タヌキ、ネズミ類、ハクビシン、アライグマが夜行性(夜間撮影の割合90% 以上)、タイワンリス、コジュケイ、ガビチョウが昼行性(日中撮影の割合約100%)を示し、ニホンノウサギとネコは昼間も夜間も活動している(夜間撮影の割合約50%)ことが示された。