バイオメカニズム
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4部 筋・骨格
低強度等尺性運動時の筋疲労評価における単極導出法の優位性
堀田 優伊藤 建一
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2012 年 21 巻 p. 231-238

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抄録

現在の筋疲労研究では, 筋の疲労性変化の指標として, 双極導出法により記録した表面筋電図が一般的に用いられている. しかしながら, 双極導出法により記録した表面筋電図では, 低強度運動時の疲労に伴う変化が不明確であるとされている. また, 上腕基部を圧迫し強い筋疲労を擬似的に再現した研究においても, 圧迫条件間に有意差は生じなかったと報告されている. この強い筋疲労は, 等尺性運動時に血管系の末梢抵抗の上昇に伴い発生する可能性があるものである. 低強度運動および等尺性運動は, 生活習慣病に対する運動療法として広く実践されており, 疲労に伴う表面筋電図変化の不明確性は, 解決すべき問題であると考えられる. 本研究では, 双極導出法に比べ導出範囲が広い単極導出法を用いて, 疲労に伴う表面筋電図変化を明確に捉えることを目的とした. 実験では, 血流制限および非血流制限条件で低強度等尺性運動を行い, 単極および双極導出法で表面筋電図を測定した. 血流制限条件は上腕基部の圧迫で実現した. さらに, 近赤外分光法を用いて筋酸素動態, Borg CR-10を用いて自覚的運動強度を測定した. 筋酸素動態および自覚的運動強度は, 筋血流制限と非筋血流制限条件のいずれにおいても疲労性変化を示し, また, 筋血流制限条件の方が有意に大きかった. この筋血流制限の影響は単極導出法で検出されたが, 双極導出法では検出されなかった. 非筋血流制限条件では, 単極導出法により記録した表面筋電図の方が, 双極導出法と比べて疲労性変化が有意に大きかった. 筋血流制限条件においても, 同様な傾向が見られた. これらの結果から, 単極導出法で表面筋電図を記録することにより, 疲労に伴う表面筋電図変化を明確に捉えられる可能性が示唆された.

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© 2012 バイオメカニズム学会
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